衝撃の『エビング』パート2

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(初出:2006年8月)

前回、沖縄県のパヤオ周りにおいて「エビング」がブームである、と書いた。

パヤオ周りでキハダやメバチといったマグロ類やカツオを狙うのに、トップウォータープラグよりも、メタルジグよりも、エビに似せたソフトルアーが圧倒的に勝っている。

中には、エサよりよく釣れると断言する船頭さんもいて、実際、エサ釣り船でもエサ釣り師による「エビング」が盛んに行われているのである。

ルアーフィッシャーマンとしては、その釣れっぷりに驚き、ひれ伏しているだけでなく、あれやこれや思いつくまま色々なことを試したうえで、ルアーフィッシングに応用できる、ルアーフィッシングが1歩も2歩も前進するための何かをつかみ取ろうともくろんでいるのだ。

そこで再び沖縄県を訪れ、最も手軽に行くことのできる南部沖のパヤオへ向かった。

今回のテーマは、エビングの効果を今一度確認すること。

前回試した限りにおいては抜群の効果をあげたものの、果たしていつでも、同じように効果があがるものなのか。さらには、使われている「ビニールエビ」以外のソフトルアーで挑んでみたらどうなのか。

考えてみても答えは見つからない。実際に現場へ出かけ、自分で試してみる以外に方法はないのである。

現在行われている「エビング」にはいくつかの欠点がある。

一つは、ビニールエビが千切れてなくなりやすいこと。

ビニールエビをフックにセットする際、最もよいのはビニールエビの鼻先にフックをちょん掛けにすること。そうすることによってエビが回転することなく素直に動き、かつハリス絡みなどのトラブルを最小限に食い止めることができるからだ。

ところが、ちょん掛けの場合、マグロを釣り上げる度にビニールエビがどこかへ吹き飛んでしまい、意外なほど消耗してしまうため、当然のことながら経費がばかにならない。

それより何より、ヤマリア製「ビニールエビ」の確保がままならないのである。

そもそも「ビニールエビ」は、九州エリア限定販売の商品であるらしく、関東の釣具店では注文することができない。

ならば本場(?)沖縄でごっそり買い込んでおこう、と勢い込んでみたものの、すでにほとんどの釣具店が品切れ状態というありさま。さらに、メーカーが同製品の生産を打ち切っているため入荷の予定もない、とのこと。

手元にあった「ビニールエビ」が2尾だけだったため、仕方なく、店頭在庫のあった、一回り小さなビニールエビを5袋購入し、いざパヤオへ向かったのだった。

「村越さん、小さなサイズのエビでも十分釣れますよ」という船頭さんの言葉どおり、いざ試してみると、キハダやメバチがコンスタントにヒットしてくる。

メタルジグで苦戦する釣り人を尻目に、「エビング」を行うぼくと船頭さんは、ほぼ入れ食い状態。

ところが、やはりビニールエビの消耗が激しい。

この日使用する十分量は確保しているものの、やがて沖縄県内、しいては日本国内からビニールエビが消えてしまうのは目に見えている。

代用品として考えられるのは、タコベイトとプラスチックワーム。

その可能性を船頭さんに聞いてみると、タコベイトでもワームでもよく釣れると教えてくれた。

しかし、個人的偏見に満ち溢れた変てこ極まりないこだわりなのかもしれないが、タコベイトでしゃくるというのはどうにも味気ない。

せめてワームで、とおもいきや、実践済みの船頭さんから、「ワームでも同じように釣れるけど、ビニールエビよりもっと消耗が激しい」と教えられた。

うむうむナルホド、と考えた末、ではこれなら、というワームを試してみることにした。

それは、シーバスのダーティング用として開発された、極めて丈夫な『DRスティック』(ダイワ精工㈱)という名のソフトルアー。

両手で持って引っ張ってみたところで、ちょっとやそっとのことでは切れもしなければ、変形したりもしない。

強度という点においては、申し分ない。サイズは、3・5インチ。

問題は、実際に魚が釣れるかどうか。

どれほど丈夫で扱いやすいからといって、狙った魚が釣れなければ何の役にも立たないからである。

早速、船頭さんと自分のフックに、持参したシーバス用ワームをちょん掛けにし、試してみた。

スルスルと仕掛けを沈め、しゃくりを開始すると、すぐに船頭さんにヒット。

「おおーっ、来ましたよ」と言っているそばから、今度はぼくの仕掛けにもズンッときた。

そのダブルヒットを皮切りに、怒涛の入れ食いが始まった。

仕掛けをタナまで沈めて何度かしゃくると、すぐにズンッとヒットするのである。

しかも、フックにちょこんと掛けたワームは全くといってよいほど痛まず、ぼくも船頭さんも、たった1個のワームを延々使い続けることができたのである。

「これはイケるねぇ」と持ちかけるぼくに、「いやぁ、これは凄いよ。食いもビニールエビ以上だね。間違いない」と興奮気味に船頭さんが答えた。

生産が中止されたビニールエビにこだわらなくても、シーバス用のワームを使い、同じスタイルでマグロやカツオを釣り続けることができるのである。

他にも、いくつか実験を行った。

まずは、ハリスリーダーの太さについて。

前回試した際は、マグロは目がいい魚だからハリスは細いに越したことはないと考え、フロロカーボンの12号を使用した。

周囲の釣り人たちより良く釣れたのは、ハリスの細さが効いたのかもしれない。

そこで今回は、同じくフロロカーボンの、24号を使用。長さは、およそ5メートル。前回の4・5メートルより50センチ長い。

別段理由はないが、ともあれ長短の比較をしてみようと考えたのだ。

船頭さんのハリスは、フロロカーボン12号で、長さは3メートル。

それを皮切りとして、ハリスを長くしたり短くしたり、細くしたり太くしたり、あれやこれや試してみたが、魚の食いっぷりが変わったようには感じられない。

結論を言ってしまえば、ハリスの太さや長さ、さらにはフックの太さや大きさは、釣果に大きな影響を与える要因には成りえないようである。

肝心なのは、フックに掛けるソフトルアー。

沖縄本島ではクリヤーブルーのエビが最高と言われているが、シーバス用ワームで試した限り、カラーの差は認められない。

ちなみに使用したタックルは、大型は不在でほとんど小型ばかりであるという話を元に、相模湾でワラサに挑むのと同様とした。

ロッドが、『ソルティガ・ゲーム60S』。

リールが、『ソルティガ・ゲーム3000』。

ラインは、『サーフセンサー1・5号』。

ショックリーダーは、『ソルティガショックリーダー』60ポンドテスト、3メートル。

ショックリーダーの先に全長40センチの自作テンビンをセットし、オモリの代わりに150グラムのメタルジグをぶら下げる。

ハリスは、前述の通り、フロロカーボン製80ポンドテストを5メートル。

フックは、アシストフックに使用している3/0サイズを使用。

投入のコツは、最初にワームのついたフックを海に投げ入れ、ハリスが伸びたところでテンビンを放り投げること。順番を逆にするとたちまちハリス絡みが多くなるので注意が必要だ。

船頭さんの指示ダナより20メートルほど深く沈めてからしゃくりを開始する。

しゃくり方は、メタルジグのロングジャークをややスロー気味に行うといった感じ。

ともあれこれでガンガン来る。

それは何が原因なのか。メタルジグにさっぱりヒットしないのは、いったいどんな理由からなのか。

釣れる原因が分かれば、釣れない理由も想像がつく。

釣れない原因が分かれば、釣れる理由も想像がつく。

ともあれ今は、どちらも皆目見当がつかない。

およそ5時間に渡って、ビニールエビとソフトルアーをしゃくり続けたぼくと船頭さんの合計釣果は、およそ35尾。

ひとりメタルジグをしゃくり続けた釣り人には、ついに1尾の魚もヒットしなかったのである。

 

(初出:2006年8月)

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