蔵出しエッセイ③

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何カ月にもわたって目を楽しませてくれたアロエの花も、ついに枯れてしまった。

何事につけ終焉は寂しいものだが、「どうせなら最後まで写真を載せたほうがよいね」という大先輩の助言通り、最後の一葉を本日ここに掲載させていただく。

 

 

 

そして、これだけでは寂しいので、暖かい海のエッセイを掲載することにしよう。

 

 

 <モルジブ諸島のショアGT>

 

 

 

 2010年2月中旬。6年ぶりにモルジブ諸島へGTフィッシングに出掛けた。前々から計画していたわけではなく、知り合いグループの釣行にキャンセルが出たため、バトンを受け継いだというわけである。

従って、仕事がらみではなく、完全プライベートのお気楽釣行。

南の島の太陽の下、マザーシップのアッパーデッキで冷たいビールが飲めればそれで満足、といった軽~いノリである。

その、のんびり釣行の中で俄然燃えたのが、テンダーボートで砂州に上陸し、腰まで浸かりながらのGTゲーム。

上陸したのは真っ白い砂の島。周囲は見渡す限り透明な海。海の色が白から青に変わっているのは、そこからストンと深くなっている証拠。その深みに向けて『ムラムラPOP』をキャストし、ガボッ、ガボッと引いてくる。

やおらポッパーの後ろから、巨大な魚が追いすがり、派手な水しぶきをあげ、破裂音とともにポッパーをとらえる。

ロッドに十分重みが伝わったところで、渾身の力を込め、合わせる。

ロッドが曲がり、スプールが逆転してラインが引き出される。

見渡す限り周囲は砂。いくら走られようと、PE4号ラインが切れる心配はない。

それにしても、GTのファイトは凄まじい。実に強い魚だ。

ゆっくりゆっくり引き寄せたところで、ショックリーダーをたぐり、GTのテールをつかんでランディング。ただし、腰上まで海に浸かっているゆえ、キャッチしたのかファイト半ばにあるのか確たる実感がわかない。

何となく、水中でGTと戯れているような錯覚に陥ってしまう。いや、実際、釣り人とGTがじゃれ合っているにすぎないのかもしれない。

フックを外し、リリース。

砂州に上がって冷たいビールでのどを潤す。

聞こえてくるのは、そよそよ流れる風の音とパチャッと寄せる波の音。

釣り人ならではの、至福のひと時。釣りをしていなければ、こんな贅沢な時間を過ごすことなどあり得ない。

ますます釣りが好きになった!

 

 

 

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