蔵出しエッセイ⑨

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 <夏の夕方の芦ノ湖>

 暑さに辟易した真夏の夕方、夕涼みを兼ねて、芦ノ湖へ出掛けることが多い。

 ぼくの住む小田原から芦ノ湖の湖畔までわずか25分。そんな地理的要因も大いにある。

が、何より嬉しいのは、気温が4~5℃も低く、おまけに湿度が低いこと。

 静かな湖畔に立ち込みルアーをキャストしていると、爽やかな冷気が身体を包み込む。

 うだるような暑さから、ひと時とはいえ確実に逃れられる。いや、逃れるためについつい芦ノ湖へ通ってしまうのである。

 夏の夕暮れのターゲットは、ブラックバス。

 芦ノ湖ではソフトルアーの使用が禁じられているため、ハードルアーのみの釣りとなるが、それがまたよい。

 ぼくはもっぱらトップウォータープラグばかりを使用している。

 TDペンシル、レッドペッパー、ザラスプーク、セミのイミテーション、ポッパー各種、等など。

 使用するタックルも、硬めのベイトと決めている。

 当然、釣れることもあれば釣れないこともある。

 だがしかし、トップウォータープラグの釣りに徹していることが心地よい。

 ベイトタックルにこだわることも、充実感を倍加させる。

 釣れる釣れないにこだわるよりも、釣り方やタックルにこだわるのがぼくのやり方。

 トップウォータープラグに、ブラックバスがドバンと飛び出すシーンを即座に想像することができるだろうか。バスフィッシングとは、本来そういう釣りではなかったか。

 夕涼みという目的に加え、心地よい空気が大らかな発想をもたらしてくれるのだろう。

今年もいよいよ暑くなり始めた。

そろそろ、ぼくの芦ノ湖通いが始まる。

(初出:2010年7月)

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