蔵出しエッセイ⑩

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<ステンレス製真空ビールグラス>

 夏は、炎天下の釣り場から帰ってギンギンに冷えたビールをキューっとやるのが楽しみのひとつである。

 できることなら缶ビールより、サーバーから注いだ生ビールを一息に飲み干したい。

生ビールがなければ、せめて缶ビールをグラスかカップに注いで飲みたいものだ。

グラスは、できれば細身の物で、ビール同様、ギンギンに冷やしておけばビールの味が数段よくなる。面積の広いグラスは、クリーミーな泡が早く消えてなくなりやすい。

ビールグラスと言えば、一般的にはガラス製であるが、素焼きのグラスを使用している店も少なくない。素焼きのビールグラスは、雰囲気を楽しむにはよいが、味はイマイチのような気がする。ザラザラしたグラスの内側でビールが余計泡立ってしまうからなのかもしれない。

素焼きのビールグラスを使用するなら、内側がツルツルした仕上げになっているものがよい。要は、内側が鏡面に近いグラスほど注がれたビールはおいしくいただける、ということなのである。

やはり好ましいのは、ギンギンに冷やしたガラス製のグラス。

細身でちょいオシャレなグラスなら、視覚的にも申し分ない。

冷気で曇ったグラスに注がれたビールの味など、想像してみていただきたい!

ところで、最近凝っているのが、『THERMOS』社製、真空のステンレス製ビールグラス。

サントリーの『プレミアムモルツ』のオマケとして付いていたものを使用したのがきっかけなのだが、注いだビールがいつまでもあたたまらず、いつまでも冷たいままのビールを味わえるのが最大のメリットである。

よいと思い込んだらトコトンこだわってみるのがぼくの性格。B型ゆえか、はたまたライター稼業ゆえか。

ともあれ、今では海外釣行や沖縄釣行にさえ、ステンレス製のビールグラスを持参し、缶ビールを飲む際に使用している。少しでも冷たいビールを飲みたいと常々考えているぼくとしては、もはや完全に手放せないアイテムとなってしまっているのである。

この原稿を書いている2日後には、パラオへ旅立つ。

釣れたてのカツオかキハダをぶつ切りにしてタッパーに放り込み、浸るぐらいめんつゆを入れ、タッパーのままクーラーボックスでギンギンに冷やしておく。

帰港後、クーラーボックスからタッパーを取り出し、スライスした生姜を放り込んでその場で食す。

2口3口ほうばってから、件のグラスに注いだ冷えたビールを飲み干す。

その1杯が今から楽しみでならない。

 

(初出:2011年7月)

 

 

さて、このエッセイを書いてから、時は経った。

今、こんな楽しみ方をしている。

まず、ステンレス製真空ビールグラスを冷蔵庫で冷やす。

そこに、十分冷やした『プレミアムモルツ』を静かにそそぐ。

と、きめ細かな泡がたち、生ビールと勘違いするほどの旨みが味わえるというわけ。

生ビール好きなら、試してみるとよい。

 

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