蔵出しエッセイ⑫<愛竿はこうして増える>

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<愛竿はこうして増える>

 

 

皆さんは、どんな基準で竿選びをしているのだろうか。

 カタログを見て。

 テレビの釣り番組を観て。

 雑誌でテスターが使っていたのを見て。

 釣友からそそのかされて。

 釣具店ですすめられて。

 等など。

 釣行回数の少ない釣り人にしてみれば、自分の経験と勘によるタックル選びは困難を極める。周辺情報に頼って吟味するのが当然のこととなるのだろう。

 ぼくの場合は、見聞によらず、徹底的に使い込んだうえで決定するか、それでも見つからなければメーカーに頼んで作ってもらうことになる。

 基本は、手元にある竿を徹底的に使い込むことから始める。

 例えば、両軸タックルが基本の船のカワハギ釣りで、ここ数年ぼくはひたすらスピニングタックルを使い続けている。

 仕掛けの落下がとにかく早い。

 巻き上げ速度もすこぶる速い。

 使用しているシロギス竿の穂先が極めて繊細なため、小さなアタリがはっきり取れる。

 幅の広い大きなアワセができる。

 等など。

 色々な釣り場、船宿、メンバーと竿を交えてみた結果、スピニングタックルのメリットとデメリットが最近になってはっきり分かってきた。

 水深が深くなるほど有利だが、浅場ではアワセが効きにくく、ハリ掛かりしにくい。

逆に深場では、食い込みがよく、巻き上げ速度も格段に速い。

投入も巻き上げも楽だから、小まめにエサのチェックができ、その分手返しがよくなる。

ともあれ、たった1本のシロギス竿で、あらゆる場所と船宿でカワハギを釣ってきたゆえに、その竿の威力と限界、すなわち適材適所が分かってきたのである。

で、次なるは、手の内にどんな竿を加えるか。

いわゆるカワハギ竿調子のスピニング竿。

穂先が繊細でアタリが取りやすく、極先調子でアワセが効きやすい竿。

手っ取り早いのは、最新のカワハギ竿にスピニングリールをセットして使ってみることであるが、残念ながらトリガーが災いしてスピニングリールをセットすることができない。

仕方なく、10年以上も前の、トリガーの付いてないカワハギ竿にスピニングリールをセット。

あるいは、懇意にしている竿師に好みを伝え、イメージ通りの和竿を作ってもらう。

まあそんな風にしながら、1本1本竿が増えてゆくのである。

もちろん、タンスの肥やしも少なくない。

(初出:2010年11月)

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