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かつて、<ボウズを呼ぶ男>という称号を授けた男がいる。
万度シーバスフィッシングに同行していたにもかかわらず、なぜかどうしてか、釣果ゼロが続いた。
高校の水泳部の後輩であり、その後非常勤インストラクターとして働いていたスイミングスクールでも一緒に水に浸かっていた仲であり、現在のルアーフィッシングクラブ(「シーバスファイティングクラブ」)の初期メンバーでもある。
あまりの釣れなさに加え、やがてサラリーマン生活の幕開けとともに釣りから遠ざかって行くのをだれも止めることはできなかった。
その<男>が最近、ルアーロッドにメタルジグをぶら下げ、小八幡海岸へ足しげく通っている。
そして昨夕、その男から歓喜のメールが届いた。
「元祖・ボウズを呼ぶ男が、苦節30年、ついにルアーで魚を釣りました。1尾はサバ。そしてもう1尾はシコイワシです。もう、涙が出るほど嬉しかった」
さらに、
「砂まみれのサバは逃がしてもまた打ち寄せられてしまったため、血抜きをして持ち帰り、半身は〆サバ、半身は焼いて食べることにします」
とあった。
「涙が出るほど嬉しかった」という報告を受けたぼくもまた、「涙が出るほど嬉しかった」。
おめでとう。
よかったね。